大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)3288号 判決 1969年5月30日
原告 小野岩雄
被告 サンパール株式会社 外四名
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一、当事者双方の申立
原告訴訟代理人は、「被告らは、業として別紙目録及び図面記載の方法によつて気房を有するプラスチツク布帯(シート)を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡してはならない。被告らは、前項の方法を使用して製造した前項の布帯の半製品及び既製品を廃棄せよ。原告に対し、被告サンパール株式会社は金九〇万円を、被告有限会社福永製作所は金一二〇万円を、被告有限会社宮武製作所は金七五万円を、被告宮崎次郎は金九〇万円を、被告文元房真は金一二万円をそれぞれ支払え。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、被告ら訴訟代理人は主文と同旨の判決を求めた。
第二、請求原因
一、原告は、次の特許権を有している。
特許番号 第二一三、八一二号
発明の名称 気房を有するプラスチツク布帯の製造法
出願日 昭和二七年三月一九日
出願公告日 昭和三〇年二月一九日
原簿登録日 昭和三〇年五月二七日
その特許明細書には、特許請求の範囲として次のとおり記載されている。
「前記目的において本文に詳記するように伸縮可撓性を有するプラスチツク製の管条を多数平面的に並列しこの並列せる管条を跨りて上下両面より或はその何れかの一面より高周波電極を以つて高周波電界を作用させ軟化溶融すると共に押圧を適度に継続することを特徴とする気房を有するプラスチツク布帯の製造法」
二、本件特許発明は、次の三個の要件から構成されている「気房を有するプラスチツク布帯」の製造方法である。
(1) 伸縮可撓性を有するプラスチツク製の管条を多数平面的に並列すること
(2) この並列せる管条を跨つて上下両面より、或いはそのいずれかの一面より、直線状、波状その他の形状の突子を有する高周波電極をあてて高周波電界を作用させ、並列した管条を軟化溶融すること
(3) 右軟化溶融と共に押圧を適度に継続すること
本件特許発明の出願前には、気房を有するプラスチツク布帯を製造する技術は全く存在しなかつた。本件特許発明は、高周波溶接技術を応用することによつて最初にこの種プラスチツク布帯の製造を可能ならしめた所謂基本的特許発明であり、その特徴は、あたかも織物の経糸の如く平面的に並べた多数のプラスチツク管条を跨つて高周波電界を作用させ管条を軟化溶融すると共に押圧を適度に継続することにより、管条自体によつて、換言すれば横糸にあたる管条その他の資材との間に織成、編組、縫合等の別個の手段を付加することなくして、気房を有し、クツシヨン性のある布帯を製造しうることに着想し、かつ、これを実現した点に存する。
三、被告らは折畳ビニールベツドを製造販売しているが、その製造にあたり別紙目録及び図面に示す方法(以下(イ)号方法という)を使用してプラスチツク座布(ベツド枠に取り付けられた状態のもの)を製作している。
四、(イ)号方法を本件特許発明と対比すると、(イ)号方法は前記二の(1)ないし(3)に掲げた本件特許発明の構成要件のすべてを備えている。もつとも、強いて外形上の相違点を挙げれば次のとおりであるが、これらは、いずれも本件特許発明の一実施形態であるか、または発明の要部とは無関係な付加ないし改変にすぎず、本件特許発明の技術的範囲外にあるものではない。
(一) 管条の配列
(イ)号方法は、長尺のプラスチツク管条を椅子枠の両側枠間に一端から順次巻き付け、上下二層として平面的に並列させるものであるが、本件特許請求の範囲に「多数平面的に並列し」とあるのは、本発明を構成するのに不可欠な事項として、最少限度に必要な出発物質の電界受動状態――高周波電極によつて電界の作用を受けしめる管条の一般的、包括的な配列状態――を表現したもので、この並列した管条に跨つて高周波電極により電界を作用させた場合に布帯が形成され得る限り、管条を並列する手段や平面的並列の具体的態様の如何は問わない趣旨である。それゆえ、長尺の管条を椅子枠に巻き付けて並列したからといつて、これに高周波電極を跨らせて電界を作用させることができる以上、管条を多数平面的に並列したというを妨げないし、並列状態が上下二層となつているとしても、それは本件特許発明の実施面における単なる形状の変更にすぎないものというべきである。
また、(イ)号方法においては、上下二層の管条群の中間にプラスチツク帯板を直交させて挿入し、この三者を上下一体として溶着するようになつているが、本件特許明細書の「発明の詳細なる説明」の項には、「布帯を加強又は二次加工に便するため縦或は横に他のプラスチツク又は繊維糸条を埋入せしめ又は必要により気孔を目止めして無気孔帯とすることも自由である」旨明記せられていて、一定の巾を有するプラスチツク板を管条と交差させて付加し、管条と共に溶着する場合のあることが示唆されているのであるから、(イ)号方法における帯板の挿入は単なる資材の付加の域を出ない。
(二) 高周波電極突子の形状
(イ)号方法において用いられる高周波電極は、電極突子の形状が一定間隔をもつて凹凸面を有するものであるが、本件特許明細書の「発明の詳細なる説明」の項に、高周波溶接のために使用する電極突子の形状として「直線状に或は波状に若しくは模様型に又はローラー式のものとなし」と記載されているのは、例示的なもので、作用面が同一平面上で連続している形状のものに限定する趣旨ではないのみならず、凹凸状の突子を有するローラー式電極を使用すれば凹凸状の突子を有する線状電極を使用した場合と同一の作用効果を奏することも自明である。従つて、(イ)号方法において用いられる電極は、特許明細書に記載された電極にあたるか、少なくともその変動幅の範囲内にあり、かかる形状の電極を選択採用することは当業者が必要に応じて容易になしうるところであつて、特に技術として保護するに値いしない程度の工夫にすぎない。
(三) 目的製品
(イ)号方法によつて製造されたプラスチツク布帯には、平面的に隣接する管条相互間において、押圧によつて生じた各管条側壁のはみ出し部分が接着融合していない個所が幾分ながら存在する。しかしながら、管条側壁のはみ出し部分を接合させるように高周波溶接加工を施すことは本件特許発明の構成上必須の要件ではない。並列させた管条に高周波電界を作用させて軟化溶融し、押圧を適度に継続することの結果として気房を有する布帯が製造される以上は、いかなる溶融状態が実際に生ぜしめられるかは使用する資材の材質、付加資材の有無、電極突子の形状、電界の強弱等の実施態条によつて異なることはむしろ当然である。(イ)号方法による製品に見られる隣接管条相互間の非接合は、(イ)号方法が管条を表裏二層として、その間に帯板を直交して挿入するという、本件特許発明の技術思想の範囲内における付加を講じたことによつて製品上に生じた必然的結果にほかならない。
また、(イ)号方法による製品は、管条の高周波加工部において、管条の軸線と直角方向に電極突子における凹凸面の間隔に従つて断続的に溶着部が形成され、溶着部の幅と同幅以上の非溶着部が残されており、管条内の空気が該非溶着部から自由に移動できるようになつているから、密閉された気房を有しないが、本件特許発明の目的物である「気房を有するプラスチツク布帯」の「気房」とは、空気室、すなわち空気の入つた区劃された部分をいうのであり、必ずしもその空気室内の空気が密閉されていて他と流通しないことを意味するものではない。本件特許明細書の「発明の詳細なる説明」欄に「内部には幾分圧搾せられた空気房を多数同時に形成することとなる」と記載してあるのは、本発明を実施する上で最も簡単かつ通常の状態を示したものであり、また同欄中に製品の効果としてクツシヨン性を強調するような記載があるのも、気房の存在によつてもたらされる効果だけでなく、これと相俟つて伸縮可撓性を有する管条を材料として使用することによつて得られる効果を記載したものと理解すべきである。そして、各気房内の空気を密閉するか一部流通せしめるかは当業者が容易に改変しうる範囲の工夫であり、一部流通せしめた方が密閉するより優れた効果が得られるとはいえないのである。
以上のとおり、(イ)号方法は本件特許発明の構成要件そのものの実施であるか少なくともそれと均等の手段を用いるものであり、被告らの行為は原告の本件特許権を侵害するものといわざるを得ない。仮りに(イ)号方法に何等かの発明性、新規性があるとしても、(イ)号方法には本件特許請求の範囲に記載された発明の構成に不可欠な事項がすべて包含されているから、(イ)号方法の無権限の実施は本件特許発明を利用するものとして侵害を構成する。
五、被告らの主張に対する反論
本件特許発明の出願当時、ビニール管条等のプラスチツク材料を上下に接着する手段として高周波電極による溶接法を用いる技術が公知であつたことは認めるが、これを用いて気房を有するプラスチツク布帯を製造する技術が当時未だ存在しなかつたことは既に述べたとおりである。本件特許発明は、主として、気房を有しクツシヨン性及び通気性のあるプラスチツク布帯という新規かつ有用な製品を製造するための技術課題を提供したことそれ自体に発明性があり、この課題を解決する技術手段が簡単であり、個別的には公知のものであることは、本件特許発明における技術思想の新規性、有用性を些かも害するものではない。このように、本件特許発明は、いつたん課題が提供され、かつ解決が示されたならば、現実の各種実施の形態は当業者にとつて容易に改変しうる性質の発明であり、使用する材料、器具等の形状に付加を施せば外形上異なる製品を製造することができるのは本発明の性質上むしろ当然である。要するに本件特許発明の構成に不可欠の事項は、特許請求の範囲に記載された事項に尽きるのであつて、この点に関する被告らの主張は、本件特許発明の本質及び特徴を正しく理解せず、その保護範囲を特許明細書に示された単なる一実施形態に不当に限定して解釈するもので、明らかに失当である。
なお、被告らは、(イ)号方法は、管条を並列するにあたり接触又は極端に近接させることがなく、管条間の間隔も規則的なものとせず、また、これによつて製造される布帯は気孔を形成せず、かつ布帯面に模様状細溝も描かれていない点において本件特許発明と相異するというが、これらの特徴の有無はもともと本件特許発明の要部と無関係であるのみならず、被告らは(イ)号方法の実施にあたり管条を接触又は極端に近接させて並列させており(然らずとするも(イ)号方法は管条を二層としてこれらを上下極端に近接して並列させ、帯板を付加しなくても二層の管条が互いに接着融合して布帯を形成し得るように配置している。)、その製品は管条が重なつていても空気の通隙(気孔)が各管条間の随所に存在し、布帯面には凹凸状の電極突子の間隔に従つた溶着点との非溶着点の連続線が全体として見れば明らかに模様状細溝を描いている。更に被告らは、(イ)号方法によればプラスチツク布帯が既に椅子体に取り付けられた状態で完成するから、本件特許発明とはその工程に差異があるというが、本件特許発明による製品を椅子用に使用することは通常の用途の範囲内に属し、プラスチック布帯の製造方法としてみる限り両者の工程には何らの差異もない。
六、被告らはいずれも(イ)号方法が本件特許発明の権利範囲内にあることを知りながら、又は過失によりこれを知らないで、(イ)号方法を使用して製作した座布が取り付けられている本件折畳ビニールベツドを次のとおり製造販売した。
(一) 被告サンパール株式会社は「パールドリーム」なる商品名称で昭和四二年中に一万台、同四三年中に二万台
(二) 被告有限会社福永製作所は「ラツキーベツド」なる商品名称で昭和四二年中に一万五、〇〇〇台、同四三年中に二万五、〇〇〇台
(三) 被告有限会社宮武製作所は「サニーベツド」なる商品名称で昭和四二年中に一万台、同四三年中に一万五、〇〇〇台
(四) 被告宮崎製作所こと宮崎次郎は、「ドリームベツド」なる商品名称で昭和四二年中に八、〇〇〇台、同四三年中に二万五、〇〇〇台
(五) 被告文元製作所こと文元房真は「フミベツド」なる商品名称で昭和四二年中に二、〇〇〇台、同四三年中に二、〇〇〇台
原告は、訴外オーナンバ化工株式会社ほか数社に対し本件特許権の実施を許諾し、いずれもベツド一台分につき金三〇円の実施料を受けているから、被告らの侵害行為により少なくとも前記製造販売台数に応じた右の割合による実施料相当の損害を蒙つたものとして、その賠償を請求する権利がある。
七、以上の次第で、原告は被告らに対し、(イ)号方法を使用してプラスチツク布帯を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡す行為の差止と、前記損害金として被告サンパール株式会社に対し金九〇万円、被告有限会社福永製作所に対し金一二〇万円、被告有限会社宮武製作所に対し金七五万円、被告宮崎に対し金九〇万円、被告文元に対し金一二万円の各支払を求める。
第三、被告らの答弁
一、原告主張の請求原因一及び三の事実は認める。同二及び四の原告の主張は否認し、同六の事実は争う。
二、本件特許発明の出願当時、ビニール管条その他の軟性合成樹脂材料を上下に接着する手段として高周波電極による溶接法を用いる技術は公知であつた。このことと本件特許明細書中の「発明の性質及び目的の要領」及び「発明の詳細なる説明」の項において、並列したプラスチツク管条を跨つて高周波電界による溶接を施した場合に右管条が気房を有する布帯状のものとなる原理として開示されているところを併せ考えると、本件特許発明の技術思想は、プラスチツク管条を並列しただけで、横糸又はこれに類する資材を付加しないで高周波電界の作用により管条相互間に横の連綴関係を生ぜしめると同時に、管条内部に気密室を形成させて座褥弾性を有するプラスチツク布帯を得ることにあり、その構成に必要な要件は次の三点である。
(1) 伸縮可撓性を有するプラスチツク管条多数を極端に近接させ、且つその間隔を規則的に保たせて平面的に並列する。
(2) この並列した管条を跨り上下両面或いはそのいずれかの一面より線状の突子を有する高周波電極をもつて高周波電界を作用させ、管条上下の内壁が融合しうる程度に管条を軟化溶融すると共に、加圧部の管条内の空気が排除されている管条が扁平状となる程度に押圧を加える。
(3) 右軟化溶融及び押圧を継続して、押圧によつてはみ出した管条加圧部の側壁を隣接する管条のはみ出し部分と溶着接合させ、加圧部をして模様状細溝を描かせ、かつ、右操作を一定の間隔を置いて繰り返し、各加圧部の中間において管条の内部に密閉された気房を、隣接する管条との間に気孔をそれぞれ形成させる。
三、被告らが用いている製造法((イ)号方法)は、次の理由により原告の有する本件特許権の技術的範囲に属しない。
(一) (イ)号方法は、ビニール管条を並列させる点、これに跨つて長い高周波電極をあてる点、高周波電界を作用させて押圧することにより管条を布帯状に形成する点においては、本件特許発明の場合と共通しているが、(イ)号方法の特徴は、管条を隣接管条と溶着接合させないで、上下二層に並列した管条の中間に横方向に帯板を介在させて上下の管条層をこの帯板と溶着接合させ、三者一体となつて布帯を形成するようにした点及び右溶着接合は管条の軸線を跨つて全面的に施すものではなく、凹凸状の電極端子をもつてその凹凸の間隔に従い部分的に施し、各管条には帯板との溶着部分と同幅以上の非溶着部を残し、管条内の空気が非溶着部から自由かつ迅速に移動できるようにした点にある。
(二) そのため、(イ)号方法にあつては、
(1) 管条間の横の接合を目的としないので、各ビニール管条を極端に近接して並列したり、各管条の間隔を規則的に保つ必要がない(現に被告らはそのような並列方法を用いていない)から、本件特許発明の前記(1)の要件を欠く。
(2) 高周波溶接加工にあたり、線条の突子を有する高周波電極を使用していないから、本件特許発明の前記(2)の要件を欠く。
(3) 管条の軟化溶融及び押圧を継続しても、押圧によつてはみ出した管条加圧部の側壁が隣接管条のはみ出し部と溶着接合しないし、加圧部が模様状細溝を描くこともなく、各管条の中間に気孔を形成することもないから、本件特許発明の前記(3)の要件を欠く。
(三) (イ)号方法によつて製造されたプラスチツク座布は、ビニール管条内に密閉された気房を有しないし、座褥弾性もないから、本件特許発明とは製造の目的物が異なる。
(四) (イ)号方法においてはプラスチツク座布がベツドの枠に既に取り付けられた状態で完成するから、製品を直ちに椅子体として使用することができるが、本件特許発明はプラスチツク布帯のみの製造法であり、その製品は直ちには椅子体とはならない。すなわち、両者はその工程に差異がある。
四、要するに、(イ)号方法は本件特許発明のそれとは異なる技術思想に立脚するものであり、被告らの行為は原告の本件特許権をなんら侵害するものではない。よつて、原告の本訴請求は失当である。
第四、証拠関係<省略>
理由
一、原告がその主張にかかる特許権を有していること、その特許明細書には特許請求の範囲として「前記目的において本文に詳記するように伸縮可撓性を有するプラスチツク製の管条を多数平面的に並列しこの並列せる管条を跨りて上下両面より或はその何れかの一面より高周波電極を以つて高周波電界を作用させ軟化溶融すると共に押圧を適度に継続することを特徴とする気房を有するプラスチツク布帯の製造法」と記載されていること、被告らは折畳ビニールベツドを製造販売しているが、その製造にあたり(イ)号方法を使用して、ベツド枠に取り付けられた状態のプラスチツク座布を製作していることは、いずれも当事者間に争いがない。
二、原本の存在及びその成立に争いのない乙二号証の二(本件特許の願書に添付した明細書)によると、その「発明の性質及び目的の要領」の項には、「その目的とする所は織成又は編組によらずして多数の区劃した気房を各管条毎に長さ方向に設くると同時に各管条の間には気孔を有するプラスチツク製布を至極簡易に製造し得んとするにあり」との記載があり、成立に争いのない甲第一号証の二によると、本件特許公報の「発明の詳細なる説明」の項には、「本発明は伸縮可撓性を有するプラスチツク製の管条を織物における経糸の如く小間隔を保ちて多数平面的に並列するか或に接触平列せしめこの並列せる管条を跨りて上下両面より或はその何れかの一面より高周波電極をあて押圧し細い線溝状に圧するにあたりこの高周波電極をしてその形状を直線状に或は波状に若しくは模様型に又はローラー式等のものとなしこの突子にて押圧部を押圧と同時に高周波電界を作用させ軟化溶融すると共に押圧を適度に継続することにより押圧部分の空気を排除して扁平状ならしむると同時に各管上下の内壁は接着融合せしむることとなる之を一定の間隔を置いて繰返すことにより各管条には長さ方向に区劃せられ内部には幾分圧搾せられた空気房を多数同時に形成することとなる一方以上の操作により管状(条の誤記と認められる)加圧部の側壁は圧平により材質の過剰を生じ管条の両外側にはみ出すので隣接する管条のはみ出し部分と接衝し夫々外側において接合す」、「加圧部をして布帯面に模様状細溝を描かしむることを繰返し行ふことにより自由の幅と長さを有する布帯を完成するものである」「本発明は前文説明の如き操作により多数の気房と多数の管条(気孔の誤記と認められる)を布帯に同時に生成せしむるものであつて……尚ほ布帯を加強又は二次加工に便するため縦或は横に他のプラスチツク又は繊維糸条を埋入せしめ又は必要により気孔を目止めして無気孔布帯とすることも自由である」との記載があることが認められる。
以上の記載ならびに、成立に争いない乙第一二号証、同第一三号証(何れも鑑定書)を参酌すると、本件特許発明の具体的構成は、
(1) 伸縮可撓性を有するプラスチツク製の管条を多数平面的に接触又は小間隔を保つて並列させること
(2) この並列した管条を跨つて上下両面より、或いはそのいずれかの一面より高周波電極をもつて高周波電界を作用させ、軟化溶融すると共に押圧を継続して、加圧部の管条の内壁を接着融合させると共に、押圧によつて管条の外壁に生じた材質のはみ出し部分を隣接管条のそれと接着融合させること
(3) 右(2)の操作を任意の間隔を置いて繰り返し行なうことからなる「気房を有するプラスチツク布帯」の製造方法であると認められる。
そうすると、本件特許請求の範囲に記載の「プラスチツク製の管条を多数平面的に並列し」とは「プラスチツク管条を多数平面的に接触或は小間隔を保つて並列し」の趣旨であり、また、「押圧を適度に継続する」とは「管条の内壁を接着融合させると共に管条の外壁に材質のはみ出し部分を生ぜしめ、そのはみ出し部分を隣接管条のそれと接着融合せしめるに適当な時間押圧を継続する」趣旨と解せられ、このことは、本件特許発明が気房を有するプラスチツク布帯の製造方法を目的とするものであること、その特許公報の発明の詳細なる説明中前記引用摘録部分による発明の開示があることからして疑いを容れないところである。
三、原告は、管条外壁のはみ出し部分を隣接管条のそれと接着融合させることは本件特許発明の構成上必須の要件ではない旨主張する。しかし、本件特許明細書及び特許公報中の前掲各記載に徴すると、本件特許発明は、プラスチツク管条を材料とし、織成又は編組の方法によらないで、多数の気房を有し、かつ通気性のあるプラスチツク布帯を製造することを発明の課題とするものであることは疑いを容れず、このように布帯の製造を目的とする以上、プラスチツク管条をどのように結合させて布帯状に形成するかは課題の解決に不可欠の事項であるところ、この点に関し特許公報の「発明の詳細なる説明」の項において示されている解決手段は、多数平面的に並列したプラスチツク管条を跨つて高周波電極により電界を作用させると共に押圧を継続し、加圧部において各管条の上下内壁同士のほか相隣接する管条の外壁同士をそれぞれ接着融合させ、この操作を繰り返すという方法である。これを、本件特許出願時、プラスチツク管条などの軟性合成樹脂材料を上下に重ねて高周波溶接法により接着する技術が公知であつたとの当事者間に争いのない事実と綜合して考察すると、横糸にあたるプラスチツク材料を用いなくても、縦糸にあたるプラスチツク管条の並列だけで、高周波電極でこれを跨つて押圧し、「管条のはみ出し部分を接着溶融させることにより」布帯を形成せしめることができるという着想が本件特許発明の本質的な部分であると認められるのである。
もつとも、右「発明の詳細なる説明」中に「尚ほ布帯を加強又は二次加工に便するため縦或は横に他のプラスチツク又は繊維糸条を埋入せしめ云々」との記載があるところから見れば、本件特許発明を実施するにあたり、プラスチツク材料等を横糸にあたるよう配置使用し、これを縦糸にあたる管条と上下に接着融合する場合もあることを開示しているけれども、右は布帯の二次加工又は補強の目的のために必要に応じて採りうる手段にすぎないから、本件特許発明は、右のような実施態様を選択した場合にあつても、横糸にあたる資材を除去してもなお縦糸にあたる管条自体が布帯としての形状を保持していることを予定しているものと解するのが相当である。
原告はまた、本件特許発明の目的製品である気房を有するプラスチツク布帯が特許出願当時新規な物であり、これを製造する先行技術が存在しなかつたと主張するけれども、そのことから本件特許発明の技術的範囲が特許明細書に記載されている技術的思想の範囲を越えて、広く高周波溶接法を用いてプラスチツク管条から前記の新規な製品を製造するあらゆる技術に及ぶものと解すべきいわれはない。けだし、原告主張のように解すると本件特許発明の要部はプラスチツク管条に高周波溶接技術を用いる点に存することとなるが、本件特許出願当時既にプラスチツク管条その他の軟性合成樹脂材料を上下に重ねて高周波溶接法により接着する技術が公知であつたことは、当事者間に争いのないところであり、このような公知技術が発明の要部となることはありえないからである。
原告本人尋問の結果中には、「明細書の詳細な説明の項の記載は最も単純な形態における一実施例を示したにすぎず、管条間の横の接合は本発明の必須要件ではない」旨の供述部分があるけれども、いずれも原本の存在及びその成立につき争いのない乙第一号証の一、二、同第二号証の一、二、同第五号証、同第六号証の一、二の各記載によると本件特許発明の出願審査の過程において数次にわたり明細書の訂正が行なわれたが、「発明の詳細なる説明」の項の記載は前後を通じ表現こそ異なれその要旨は殆んど同一であつたこと、一方、「特許請求の範囲」として、願書に添付した原明細書には「……押圧することによりこの押圧部を扁平状ならしむると同時に加熱するため上下内壁を接着せしむることとなり従つて各細管条には長さ方向に区劃せられた小気房を形成すると共に加圧部は両側にはみ出すので隣接する細管条のはみ出部分は同時に接衝し夫々外側において接着し隣接接着部との間に気孔を形成すると共に加圧部をして細溝ならしむることを繰返し行ふべくしたる気房を有するプラスチツク布帯の製造法」と記載されていたが、その後これが「……押圧を適度に継続することによりこの押圧部分の管内空気を排除して扁平状ならしむると同時に管内の上下内壁を接着溶合せしむることとなりこれを一定の間隔を置いて繰返すことにより管条には長さ方向に区劃せられた内部には幾分圧搾せられた空気房を形成することとなる一方以上の操作により管状(条の誤記と認められる)加圧部の側壁は圧平により材質の過剰を生じ管状(前同)の両外側にはみ出すので隣接する管条のはみ出部分は同時に接合し夫々外側において接合しこの隣接接合部と接合部との中間には気孔を形成すると共に加圧部をして布帯面に模様状細溝を抽力せしむる(描かしむるの誤記と認められる)ことを繰返し行ふ事により自由の巾と長さを有する気房を有するプラスチツク布帯の製造法」と訂正されたところ、審査官において右記載中「この押圧部分」以下「自由の巾と長さを有する」までの部分は作用効果の記載にわたるものと認め、この部分を削除するよう出願人に指示したので、右指示に基づき現在の如く「……押圧を適度に継続することを特徴とするプラスチツク布帯の製造法」なる記載に改められたとの消息を窺うことができるのであつて、右の事実によれば、「詳細なる説明」の項の記載中、少くとも隣接管条相互間におけるはみ出し部分の接合は、本件特許発明の単なる一実施例ではなく、基本となる発明構成そのものが端的に記載されているものと認めるのほかはないから、原告本人の右供述は採用の限りでない。
右認定と異なるいずれも成立に争いのない甲第二号証(鑑定書)及び同第三号証の二(判定)中の本件特許発明の権利範囲に関する解釈意見は、たやすく賛同できない。
四、そこで、(イ)号方法を本件特許発明と対比する。
(一) (イ)号方法において、高周波溶接加工を行なう際の材料の配置状態は、可撓性を有するプラスチツク製の単位管条を椅子枠の外枠間又は前後枠間に枠の一端より順次巻き付け、両端は枠に固定して上下二層に平面的に配列されたプラスチツク管条群の間に、これに直交してプラスチツク製の帯板を貫通し、その両側を側枠に固定したものであるが、別紙図面並びに被告サンパール株式会社の製品であることにつき当事者間に争いのない検甲第一号証及び被告文元の製品であることにつき当事者間に争いのない検乙第一号証によれば、右プラスチツク管条は伸縮性を有するもので、かつ、同一層の隣接管条と極めて近接し、おおむね、管条を圧平した場合に相隣接する管条同士が接触する程度の間隔で並列されていることが認められる。管条の層が上下二層となつていること及びその間に直交する帯板を介在させたことは、次段の工程においてこの三者を上下一体として溶着することを意図したものであるが、高周波電界の作用を受ける材料物質の配置状態という観点からは、本件特許発明の前記(1)の要件を具えた管条層が上下二列に存在するほか、その層の中間に本件特許明細書中においてその付加使用が示唆されている二次加工兼補強用プラスチツク材料が挿入されている場合と同視することができる。しかしながら、本件特許発明の前記(2)の要件に対応する(イ)号方法の構成は、並列した上下二層の多数の管条及びこの中間を直交する帯板の三者を挾み、上下両面より一対の又はそのいずれか一面より電極突子の形状が一定間隔をもつて凹凸面を有する高周波電極をもつて高周波電界を作用させ、電極突子における凹凸面の間隔に従つて多数の上下に並列した管条を帯板と共に軟化溶融し、その軟化溶融と共に瞬時に押圧して電極突子の間隔に従つた部分的な溶着点を形成することであり、なお、電極の長さは五五〇耗、突子の凸部の幅は三耗、凹部の幅はそれより広く、その深さは五耗である。そして、(イ)号方法によるときは、管条が椅子枠の両側枠間に一端から表裏に交互に巻き付けられているため、表裏二層の管条の軸線方向が異なり、表と裏とで管条が多少ずれている関係上、高周波電極突子の凸部がたまたま管条と隣接管条との接触部に当る場合の生ずることを免かれ得ないが、前顕検甲第一号証及び検乙第一号証によると、管条と隣接管条との接触部において電極突子の押圧によつて各管条の外壁のはみ出し部分が互いに接着融合している箇所は極めて少なく、大部分の管条は高周波加工部において隣接管条と接着融合せず、単に帯板と接着融合しているだけであることが認められ、この現象は、被告らの使用するプラスチツク管条が別紙目録記載のように直径一〇ないし一一耗、厚み〇・三五ないし〇・四耗のもので、太さに比べて厚さが薄い上に、隣接管条との間隔が、おおむね、圧平により接触する程度の間隔で並列されているため、高周波電極突子による押圧によつて隣接管条と接着融合する程十分な材質の過剰が生じにくいことに基因するものと推察される。もつとも、押圧を強くし、かつその継続時間を延長すれば、隣接管条との接合を生ずる機会もそれだけ多くなる道理であるが、(イ)号方法における管条の配置状態のもとでは、被告らの用いている形状寸法の高周波電極を管条に跨るようにあてた場合、電極突子の凸部を各管条の隣接部の全部又は大部分にわたつて同時に当接させることは著るしく困難であり、成立の争いのない乙第一七号証の記載によれば、電極の凹部と凹部との対向面においても理論上は電界が作用するけれども、その加熱作用の程度は電極突子の凸部同士の対向面間におけるそれよりも当然に微弱であり、凹部同士の対向面においてこれに当接する管条隣接部のはみ出し部分を接合させる程度に押圧を強くし、押圧時間を延長するときは、場合によつては凸部同士の対向面に接する管条が過度の溶融のため流失するおそれのあることが窺われるのである。
(二) 以上の事実を綜合して考察すると、(イ)号方法は、これに用いられる高周波電極の形状、加工対象である管条の太さ及び肉厚並びに管条の配置状態に照らし、押圧による管条側壁はみ出し部分の接着融合を生ぜしめるに適しないというにとどまらず、そもそも当初から管条間に横の連綴関係を生ぜしめることを意図したものではなく、管条を布帯状に形成する手段として管条と帯板とを上下に接着融合させることを不可欠の要件として構成された方法であると認めるのが相当である。そうだとすれば、(イ)号方法は本件特許発明と布帯が形成せられる原理を異にし、本件特許の前記(2)の要件の一部を欠くものといわねばならない。
(三) 原告は、(イ)号方法において管条を二層とし、その中間に帯板を横に交差させて三者を一体に溶着することとしたのは、隣接管条の側壁同士を溶着融合する方法と均等手段を用いるものである旨主張する。なるほど、本件において、管条を二層にしたこと及びその間に帯板を横に交差させたことは、管条の配列状態として見る限り本件特許発明を実施する場合の管条の配列に付加を施したものとみることができ、凹凸状突子を有する高周波電極を使用する点も本件特許発明の排斥する手段ではない。しかし、これらはいずれもつぎの段階において管条を布帯状に形成するため相隣接する管条相互間に横の連綴関係を生ぜしめるに足りる手段を用いるという前提条件のもとにおいて言えることである。(イ)号方法は管条を帯板と一体に接着融合させることにより布帯状に形成しようとするものであるのに対し、本件特許発明は管条を隣接管条の側壁と接着融合させて布帯状に形成しようとするものである。両者は、ひとしくプラスチツク管条を布帯状に形成する結果をもたらす点においては同一であるが、その形成のため採用する原理が異なる。すなわち、(イ)号方法の個々の手段の有機的結合によつて構成される技術思想は、本件特許発明における技術思想とは別個のものと解すべきであることは既に判断したとおりである。均等方法を用いることによる特許権の侵害は、特許発明が採用している具体的解決原理(あるいは技術思想)と同一原理に基づく構成あるいは実施方法とみられる範囲内においてのみ成立するのである。(イ)号方法が全体として特許方法が採用している原理あるいは技術思想と全く異なるときは、たとえ出発物資、目的物資において同一性が認められるときでも、原理あるいは技術思想相互間において均等の法理を用いることが許されないことは言うまでもない。
(イ)号方法が本件特許方法と原理を異にすると認めるべきことは既に説明したとおりである以上、(イ)号方法が均等を用いることによる権利侵害であるとの原告の主張は採用することができない。
(四) また原告は、(イ)号方法は少くとも本件特許発明を利用するものである旨主張するが、(イ)号方法が本件特許発明が採用した具体的解決原理(技術思想)を用いていないことは既は述べたとおりであるほか、気房の点についても、つぎの差異がみられる。
本件特許においては、公報の発明の詳細な説明欄における前記記載に徴し、「気房」とは、単に内部に空気が入つているという、管条である以上本来当然有する性質をいうのではなく、外圧を加えても中の空気は直ちにこれに伴なつて排出しないよう区劃せられていて幾分圧搾された空気が入つている空気房をいうものであつて、これが座褥弾力性を発揮するものであると解せられるところ、本件特許発明において右区劃は高周波電極による押圧により管条内に形成せられるものである。ところが、(イ)号方法においては、むしろ気房の隔壁は電極による押圧とは無関係な材料の配置により形成せられていると見られる。すなわち、(イ)号方法において用いる電極の突子同士の間隔は電極突子の幅よりも大きく、これで押圧した結果は点溶接の如き外観を呈して突子同士の間は密着せず幾分空気の流通が可能であつて、溶着部分を区劃と認定し難いところであるが、管条が椅子の両側に固定して巻きつけられているため各管条は椅子の両側において閉鎖された状態にある。しかし、この椅子の両側の閉鎖による区劃は高周波電極によつて形成せられるものではなく、これと無関係な材料の配置によるものである。また(イ)号方法による製品に多少座褥弾力性が認められるとしても、それはプラスチツク管条の材質によるものであつて、本件特許にいう気房によるものとは認められない。
以上によれば(イ)号方法が本件特許発明を利用するものであるとの原告の主張も理由がない。
五、以上の次第で、被告らの(イ)号方法の実施が原告の有する本件特許権を侵害することを前提とする原告の本訴請求はその余の争点につき判断するまでもなく失当であるから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 大江健次郎 近藤浩武 丸山忠三)
(別紙)
目録
(イ)号方法
一、可撓性を有するプラスチツク製の直径一〇粍、一一粍(厚み〇・三五 〇・四粍の単位管条)を椅子枠の外枠間又は前後枠間に枠の一端より順次巻き付け、両端は枠に固定して上下二層に平面的に配列されたプラスチツク管条群の間に、これに直交した同質(プラスチツク製)の帯板を貫通し、その両端を側枠に固定し、
二、この並列した上下二層の多数の管条及びこの中間を直交する帯板の三者を挾み、上下両面より一対の又はその何れか一面より電極突子の形状が一定間隔をもつて凹凸面を有する高周波電極(長さ五五〇粍、突子の凸部の幅三粍、凹部の幅はそれ以上、凹部の深さ五粍)をもつて高周波電界を作用させて電極突子における凹凸面の間隔に従つて多数の上下に並列した管条を帯板と共に軟化溶融し、
三、その軟化溶融と共に瞬時に押圧して電極突子の凹凸の間隔に従つた部分的な溶着点を形成する
ことにより、管条の軸線方向と直角な溶着部の幅と同幅以上の非溶着部を残して、管条内の空気が該非溶着部から自由に移動できるようにしたプラスチツク座布を製作する方法
図面の説明
図面の簡単な説明
第一図はビニールシートが用いられて居る通称「折畳ビニールベツド」の斜視図・第二図は第一図ベツドの側枠と帯板との関係並びに巻並べ方の一部を示す、第三図は第一図に於けるシートの一部分を切り取つたものの拡大、第四図(A)は第三図中のAA線を、また第四図(B)は同BB線を切断し何れもその断面形を示す、第五図は第三図の一部切片で其の構造内容説明用の一部を示す、第六図(A)(B)は所謂折畳ビニールベツドとして実施された二種類からそれぞれ一部分宛を切断してその各切断面の構造を示す、第七図は溶着に用いられる高周波電極の作用面及び側面図である。
詳細な説明
第二図の如く長尺のビニール細管をベツドの両側枠間(1)に巻き止め、表裏二層に並列したその層の中間にビニール帯板(3)を挾み、これらの重なり部分を並列細管の横方向に跨がり電極の作用面が凹凸形態の細長い高周波電極(第七図)にて押圧し瞬時的に印加される高周波電界の作用にて上記三層を溶合し一体となし之を細管の軸線方向に自由な距離間隔をおいて、第三図A・B・Cの如く種々の模様状に継続繰返すことに依つて一連一枚の布帯即ちシート状となし、同シート面には溶着線細溝(8)を現わし、この細溝の底には、さらにその細溝の軸線方向に凹凸模様(8)を生ぜしめ、各溶着線(8)相互間にはそれぞれ気房(2)をつくつて列をなし気房と気房との間にはシートの上下面(表裏)に通過する。空気の通隙(6)を生ぜしめた構造である。
(イ)号図面